第43話   来て欲しくない釣り人   平成15年10月05日  

釣り人にも色々いる。

勝手気ままに自分だけが釣れれば良いと云う釣り人が多い事、多い事。今日も今日とてそんな若者が居た。

昼から雨に変わって、西風が急に北西の風に変わった。雲の流れが速い、こんな時はきっと濁りが入っている温排水が良いと思った。行って見たら、急に雨が降ったので釣り人が少ない。いつもの場所に先に釣り人が入っていた。「当りがきますか?」聞くと「・・・・?」返事が無いので黙って5m位離れて釣座につく。

彼はしきりに乱暴にウキを投げては、上げ又ウキを投げ込んでいる。仕舞いには竿を無造作に投げつける。何がそんなに面白くないのか?後で判った事だが、少し前から潮が急に早くなってきたからである。ここは北西の風に変われば北の方から水路沿いに潮が入ってくるから当たり前なのである。自然に逆らったところでどうしようもないのに腹を立てていたのだ。所詮人間なんて自然から見ればちっぽけな物だ。自然に逆らわず釣をすれば良いのにと思った。小物に餌を取られてばかりで又腹を立てている。其のイライラが手に取るように伝わってくる。こちらも釣どころではない。

今に釣り場をあの若者はきっと綺麗にせずに帰ると思った。

やがて餌が切れて帰り支度に入った。案の定、餌の入れ物をポイと海に捨てた。残りの撒餌を海に投げ込んでから、釣り場を掃除もせずにバッカンを自分の車に無造作に投げ入れた。汐の付いた竿も拭くこともなく車に放り投げる。こんな奴に釣られた魚はたまった物ではない。竿は唯の道具であり、魚は単なるストレスのはけ口なのか?

今年見た若者でこの釣り人が最低の奴であった。

お蔭でこちらは気を取られ釣どころでなく普段ならボラの当りは取らないようにしているのだが、立て続けにボラをかけてしまった。竿だって可哀想だ。釣り人なら竿に愛着を持つのが当然なのに。愛竿と云う言葉があるように使っている内に愛着を持つようになり大事に扱う物である。竿が壊れれば修理もせずに又新しいのを買うのだろう。こんな若者を作ってしまったのは誰だ。釣り人としては最低の奴である。また、人間としても最低の奴である。そんな奴は釣り人として来て欲しくないものだ。